認知症になる前にやるべき終活とは?判断力があるうちに済ませておきたいことの優先順位とは

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認知症は誰にでも起こりうる身近な病気です。65歳以上の約5人に1人が認知症になると予測されており、もはや他人事ではありません。認知症になってしまうと、自分の意思を伝えることが難しくなり、大切な決断ができなくなってしまいます。

だからこそ、元気なうちに終活を進めておくことが重要なのです。終活とは、自分の人生の終わりに向けて行う準備活動のこと。認知症になる前に終活をしておけば、自分らしい最期を迎えられるだけでなく、家族の負担も大幅に減らすことができます。

この記事では、認知症になる前にやるべき終活の内容を優先順位とともにお伝えします。何から始めればよいか迷っている方も、この記事を読めば具体的な行動を起こせるはずです。判断力があるうちに、しっかりと準備を進めていきましょう。

目次

認知症になる前の終活が重要な理由

判断力が低下してからでは遅い理由

認知症が進行すると、財産の管理や日常の契約が困難になります。銀行口座は凍結され、家族であっても勝手に預金を引き出すことができなくなってしまうのです。また、不動産の売却や賃貸などの契約も結べなくなり、生活に大きな支障をきたします。

さらに怖いのは、判断能力が低下した状態で詐欺や悪質商法のターゲットになってしまうリスクです。悪意のある第三者に騙されて、大切な財産を失ってしまう可能性もあります。こうした事態を防ぐためにも、元気なうちに適切な準備をしておくことが欠かせません。

家族への負担を減らすメリット

認知症になってから家族が手続きを進めようとすると、非常に多くの時間と労力がかかります。成年後見制度を利用するには家庭裁判所への申し立てが必要で、選任まで通常1〜2か月もかかってしまいます。

事前に終活を済ませておけば、家族は迷うことなく適切な対応ができます。医療や介護についての希望が明確になっていれば、家族の意思決定もスムーズになるでしょう。何より、「これでよかったのだろうか」と後悔する気持ちを家族に抱かせずに済むのです。

自分らしい最期を迎えるための準備

終活は単なる事務手続きではありません。今後の人生をどのように過ごしたいのか、どのような最期を迎えたいのかを考える大切な機会でもあります。健康、お金、生き方の3つの観点から自分の方向性を定めることで、残りの人生をより充実したものにできるのです。

延命治療を希望するかどうか、どこで介護を受けたいかなど、重要な決断は元気なうちにしかできません。自分の価値観に基づいて決めた内容をエンディングノートなどに残しておけば、意思疎通ができなくなっても家族に希望を伝えることができます。

認知症になる前にやるべき終活の優先順位

【最優先】法的な手続きと書類の準備

遺言書の作成

遺言書は、自分の財産を誰にどのように分けるかを決める重要な書類です。認知症になってしまうと、法的に有効な遺言書を作成することができなくなってしまいます。そのため、判断力があるうちに必ず作成しておきましょう。

遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。中でも公正証書遺言は、公証人が作成するため法的な効力が確実で、紛失や改ざんの心配もありません。費用はかかりますが、確実性を重視するなら公正証書遺言がおすすめです。

成年後見制度の準備

成年後見制度は、認知症などで判断能力が低下した人を法的に保護する制度です。法定後見制度と任意後見制度の2つがあり、事前に準備できるのは任意後見制度です。

任意後見制度では、元気なうちに信頼できる人を後見人に指定し、委任する内容を公正証書で定めておきます。判断能力が低下した際に、指定した後見人が代理で財産管理や契約手続きを行ってくれるのです。家族に迷惑をかけたくない方は、ぜひ検討してみてください。

任意後見契約の検討

任意後見契約を結ぶ際は、後見人となる人や委任する内容を慎重に決める必要があります。一般的には配偶者や子ども、親族が後見人になることが多いですが、弁護士や司法書士などの専門家を選ぶことも可能です。

契約内容には、財産管理だけでなく、医療や介護に関する決定権も含めることができます。ただし、任意後見制度には法定後見制度のような同意権や取消権がないため、詐欺被害を完全に防ぐことは難しい点も理解しておきましょう。

【優先度高】お金に関する整理

銀行口座の整理と一覧作成

複数の銀行に口座を持っている場合は、使っていない口座を解約して整理しておきましょう。残す口座については、銀行名、支店名、口座番号、残高などを一覧にまとめ、家族にも伝えておくことが大切です。

通帳やキャッシュカード、印鑑の保管場所も明確にしておきましょう。認知症になると家族でも口座からお金を引き出すことができなくなるため、事前に家族信託や代理人届などの手続きを検討することも重要です。

保険の見直しと受益者確認

生命保険や医療保険の内容を見直し、本当に必要な保障かどうかを確認しましょう。不要な保険は解約し、必要な保険は受益者が正しく設定されているかをチェックします。

保険証券の保管場所や、保険会社の連絡先も家族に伝えておくことが大切です。また、認知症に備えて介護保険への加入も検討してみてください。民間の介護保険に入っておけば、介護費用の負担を軽減できます。

年金や退職金の手続き確認

年金の受給手続きや、会社の退職金制度について確認しておきましょう。年金事務所や勤務先の人事部に問い合わせて、必要な手続きや書類を把握しておくことが重要です。

また、年金や退職金の受取口座も家族に伝えておきましょう。認知症になってから手続きを進めるのは非常に困難になるため、元気なうちに準備を整えておくことが大切です。

【優先度高】医療・介護に関する意思表示

終末期医療の希望を書面で残す

終末期にどのような医療を受けたいか、延命治療を希望するかどうかを明確にしておきましょう。人工呼吸器や胃ろうなどの延命措置について、自分の価値観に基づいて決断することが重要です。

これらの希望はエンディングノートに記載するだけでなく、尊厳死宣言公正証書を作成することも検討してください。公正証書があれば、95%以上の医師が患者の希望に沿って延命治療を差し控えてくれます。

かかりつけ医との相談

普段からお世話になっているかかりつけ医に、終末期医療についての考えを相談しておきましょう。医師の専門的な意見を聞くことで、より現実的な判断ができるはずです。

また、緩和ケアやホスピスについても情報を収集しておくことが大切です。病院の緩和ケア病棟、ホスピス、在宅ホスピスケアなど、さまざまな選択肢があることを知っておけば、いざというときに適切な選択ができます。

介護施設の情報収集

介護が必要になったときに、自宅と施設のどちらで過ごしたいかを決めておきましょう。自宅での介護を希望する場合は、家族の負担や費用について事前に話し合っておくことが重要です。

施設での介護を希望する場合は、公的な介護保険施設、福祉施設、民間の有料老人ホームなどの選択肢があります。それぞれの特徴や費用を調べて、自分に合った施設を見つけておきましょう。

認知症になる前に整理しておきたい身の回りのこと

デジタル関連の整理

スマホやパソコンのパスワード管理

現代の生活では、スマートフォンやパソコンに重要な情報が保存されています。これらのデバイスにアクセスするためのパスワードやPINコードを、家族にも分かるように整理しておくことが大切です。

パスワード管理アプリを使っている場合は、マスターパスワードを家族に伝えておきましょう。また、指紋認証や顔認証を設定している場合は、パスワードでもアクセスできるように設定を確認しておくことが重要です。

SNSアカウントの整理

FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSアカウントについても整理が必要です。使っていないアカウントは削除し、残すアカウントについては死後の取り扱いを決めておきましょう。

多くのSNSには、アカウント所有者が亡くなった場合の手続きが用意されています。追悼アカウントに変更するか、完全に削除するかを事前に決めて、家族に伝えておくことが大切です。

サブスクリプションサービスの見直し

動画配信サービスや音楽配信サービス、オンラインストレージなど、月額料金を支払っているサービスを整理しましょう。使っていないサービスは解約し、必要なサービスについてはアカウント情報を家族に伝えておきます。

特に有料サービスは、死後も料金が発生し続ける可能性があります。家族が解約手続きをスムーズに行えるよう、サービス名、ログイン情報、解約方法などをまとめておくことが重要です。

物の整理と処分

大切な物と不要な物の仕分け

終活の一環として断捨離を行うことで、家族の遺品整理の負担を大幅に減らすことができます。使わなくなった物を処分し、本当に大切な物だけを残すようにしましょう。

仕分けの際は、「必要な物」「思い出の品」「処分する物」の3つに分けると整理しやすくなります。迷った物については、1年間使わなかったら処分するなど、明確な基準を設けることが大切です。

思い出の品の整理方法

写真やアルバム、手紙などの思い出の品は、家族にとっても大切な物です。大量にある場合は、特に重要な物を選んで整理しておきましょう。

デジタル化できる物は、スキャンしてデータとして保存することも検討してください。物理的なスペースを取らず、家族も管理しやすくなります。また、それぞれの思い出について簡単なメモを残しておくと、家族にとってより意味のある物になるでしょう。

貴重品の保管場所を家族に伝える

貴金属、骨董品、重要書類などの貴重品は、保管場所を家族に明確に伝えておきましょう。銀行の貸金庫を利用している場合は、鍵の保管場所や契約内容も併せて伝えることが重要です。

また、これらの貴重品の価値や処分方法についても、可能な範囲で情報を残しておきましょう。専門的な鑑定が必要な物については、信頼できる業者の連絡先も併せて伝えておくと安心です。

家族とのコミュニケーションで準備しておくこと

終活について話し合うタイミング

終活について家族と話し合うのは、なかなか勇気がいることかもしれません。しかし、元気なうちに話し合っておくことで、家族も心の準備ができ、いざというときに適切な対応ができます。

話し合いのきっかけとしては、親族の葬儀に参列した後や、健康診断の結果を聞いた後などが自然です。重い話題ではありますが、家族の将来を考える大切な時間として、前向きに取り組んでみてください。

家族に伝えておきたい想いや希望

終活は事務的な手続きだけでなく、家族への想いを伝える機会でもあります。感謝の気持ちや、これからの人生で大切にしてほしいことなど、普段は恥ずかしくて言えない想いを伝えてみましょう。

また、自分がいなくなった後の家族の生活についても話し合っておくことが大切です。配偶者の生活費や、子どもたちの将来について、具体的な希望があれば伝えておきましょう。

定期的な情報共有の仕組み作り

終活は一度やって終わりではありません。健康状態や財産状況の変化に応じて、定期的に内容を見直す必要があります。家族との情報共有も、継続的に行うことが重要です。

年に1回程度、家族会議のような形で終活の進捗を確認し合うことをおすすめします。新しい情報があれば共有し、変更が必要な部分があれば一緒に検討しましょう。

認知症になる前の終活でよくある疑問と解決策

何歳から始めればいいのか

終活に「早すぎる」ということはありません。認知症は65歳以降に発症リスクが高まりますが、若年性認知症のように40代や50代で発症するケースもあります。そのため、50代頃から終活を意識し始めることをおすすめします。

ただし、年齢に関係なく、大きな病気をした時や親族を亡くした時など、人生について考える機会があったときに始めるのも良いでしょう。大切なのは、元気で判断力があるうちに準備を進めることです。

一人で進めるべきか家族と一緒にやるべきか

終活は基本的に本人が主体となって進めるものですが、家族の協力があるとよりスムーズに進められます。特に、医療や介護に関する希望については、家族の理解と協力が不可欠です。

一人で全てを決めてしまうのではなく、重要な決断については家族と相談しながら進めることをおすすめします。家族の意見を聞くことで、より現実的で実行可能な計画を立てることができるでしょう。

費用はどのくらいかかるのか

終活にかかる費用は、どこまで専門家に依頼するかによって大きく変わります。自分でできることは自分で行い、必要な部分だけ専門家に依頼すれば、費用を抑えることができます。

例えば、公正証書遺言の作成には数万円から十数万円、任意後見契約には十数万円程度の費用がかかります。一方で、エンディングノートの作成や断捨離などは、ほとんど費用をかけずに行うことができます。

専門家に相談すべきタイミングと選び方

弁護士に相談すべきケース

相続関係が複雑な場合や、遺言書の内容について法的なアドバイスが必要な場合は、弁護士に相談することをおすすめします。特に、前妻との間に子どもがいる場合や、事業を経営している場合などは、専門的な知識が必要になります。

また、家族間で意見が対立している場合や、認知症の進行が心配な場合も、弁護士のサポートを受けることで適切な解決策を見つけることができるでしょう。

ファイナンシャルプランナーの活用方法

資産の管理や相続税対策について相談したい場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談することが有効です。FPは、個人の財産状況を総合的に分析し、最適な資産運用や相続対策を提案してくれます。

特に、退職金の運用方法や、介護費用の準備方法について悩んでいる場合は、FPの専門的なアドバイスが役立つでしょう。

終活カウンセラーのサポート内容

終活カウンセラーは、終活全般についてアドバイスを提供する専門家です。法的な手続きから、エンディングノートの書き方、家族とのコミュニケーション方法まで、幅広くサポートしてくれます。

何から始めればよいか分からない場合や、家族との話し合いがうまくいかない場合は、終活カウンセラーに相談してみることをおすすめします。中立的な立場からアドバイスを受けることで、より良い解決策が見つかるかもしれません。

まとめ:今日からできる認知症に備えた終活の第一歩

認知症になる前の終活は、自分らしい最期を迎えるために欠かせない準備です。法的な手続き、お金の整理、医療・介護の意思表示を優先的に進め、デジタル関連や身の回りの物の整理も忘れずに行いましょう。家族とのコミュニケーションを大切にし、必要に応じて専門家のサポートを受けることも重要です。

まずはエンディングノートを手に入れて、自分の想いや希望を書き出すことから始めてみてください。小さな一歩でも、確実に前進することができます。元気なうちに準備を整えて、安心できる将来を築いていきましょう。

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